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祝祭


 そして、11月最後の日曜日にある「いろmuji」から1週間も離れていない12月最初の土曜日に開催されるのが「BELLSOUNDS」です。西武新宿線久米川駅から歩いて5分くらいのところにある「ベルハウス」という画廊で開催されていたマルシェのリニューアル版として、これが出来たてほやほやの第一回、僕はイベントの名前を考えるところから参加しているから、一介の出店者として参加していたこれまでのイベントとはちょっと関わり方の深さがちがう。僕はここでもフライヤーをつくり、ウェブサイトをつくり、コーヒーをつくり、映画上映会をやります。映画上映会?その話はまた改めて。

 手前味噌みたいだけど、この「BELLSOUNDS」というイベントは、来た人がしっかりと楽しめる面白いイベントになる可能性に満ちているように思える。なにしろ、内容が実にカラフルだから。マーケットだけでも「これは」という人たちが出てくるし、そのうえ音楽の生演奏があり、参加型のワークショップがあり、1対1でじっくり付き合ってくれるサロンがあり、映画上映会がある。軒先では地元産の無農薬栽培野菜が買えたりする。すべては同じ建物の中で同時並列的に展開する。いったいどういうイベントなんだと言われたら、これはもう「お祭り」そのものです、とお答えするしかない。果たしてすべての出店者が建物内に収まりきるのか?お客さんが入ったら足の踏み場はあるのか?ライブや映画やワークショップは無事に成功を見るのか?神のみぞ知る、である。ちょっとでも気になったら、あなたもぜひ、遊びに来てください。

 「BELLSOUNDS」はその語の純粋な意味におけるお祭りだと僕は思う。それは無計画的に多様で、多様的に前のめりで、前のめりに祝祭的である。それは「うまくならなんでもあり(whatever works…今回取り上げる映画のテーマ)」であり、即興性や偶然性のためのすき間が存分に残されていて、難しいことはわきに置いてとにかく楽しもう、という精神で準備されている。このイベントの話が立ち上がったその日から、その精神はずっとそこにあった。その精神に則って僕はめいっぱいの手間暇をかけてフライヤーをつくり、あらん限りの趣向とアイディアを詰め込んだウェブサイトをつくり、「先行投資、先行投資♪」と映画上映用の機材を買い揃えた。これは何かに似ているなと思ったら、中学校や高校の文化祭も同じような感じだったなと思い当たった。つまりは、そういうことです。

 イベントとしての「BELLSOUNDS」が祝祭であるとすれば、それはいったい何を祝うのだろう?僕にはこのイベントのアイディアが持ち上がった時からそのことを考えていて、ついこの間この回答を思いついたのだけれども、おそらく、僕が祝いたいと思っているのは、もうすぐ終わっていくこの2016年という年のことです。この2016年の間に、僕はデザインを始め、コーヒーを始め、個人塾を始め、30代を始めた。ずいぶんいろいろ始まったものですね。こうして書いてみるとなんだかするっと順調に行ったみたいだけれど、実のところ忙しかったのは後半の半年間くらいで、前半分はずいぶん暗中模索的に過ごしていた。塾にはほとんど人が来ず(今だってたいしたことないけれど、まあ)、コーヒーやデザインは先の展開が見えず、「いったいどうなることやら」という感じだった。それでも、いろんな人の厚意と幾多の幸運に助けられて、なんとか年末までたどり着くことができた。それだけでもちょっとしたことなのに、今の僕にはこれからの人生に対するいくつかのアイディアまである。「どうなることやら」で始まった2016年は、「お楽しみは、これからだ」という気分で幕を閉じようとしている。僕としては、だから、この2016年をそんな風に祝福して、次の2017年に向かって行きたいと思っていて、そういうつもりでこの「BELLSOUNDS」に臨もうとしています。別に誰にも断りなく。あくまで自分勝手な理由で。他の人たちもきっとそうであるように。

market&more BELLSOUNDS

2016.12.3(土) 11:00-17:00

ベルハウス(西武新宿線久米川駅徒歩5分)


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